リトルカブの冒険
久しぶりに、冒険に出かけた。片道40キロ、目指すは、ここ数年行ってみたかった珈琲店。
誕生日翌日の、自分へのプレゼント。
空は素晴らしい晴れ。進む山道は、どこまでも赤色、橙色、黄色の彩り。この季節特有の輝きに、目を見張る。
愛車のリトルカブは、絶好調。エンジンの音がいい感じ。めいっぱい厚着して出たけれど、それでも風を切ると寒い。生身に味わう山の冷気は体にこたえつつも、芯がしゃきっとする。野菜が寒さで美味しくなるような、そんな感じ。自然のより近くにいられるようで、うれしい。
途中、コンビニに寄って肉まんで温まる。バイク乗りにとっての温かい飲食を提供してくれる場所は、天国だと身をもって感じる。
珈琲店まで、道を間違えながらの1時間強。こんなに長く原付で移動するのは初めて。お店は道路沿いに突然現れ、少し通り過ぎてしまった。
店内は暖炉があって、目からも暖かい。来店は私ひとり。贅沢にも、大きな薪がくべられた火の前にしばし座り、暖を取る。何かの物語のワンシーンに飛び込んだみたいな気分だった。
たくさんの本が詰まった本棚の前の、星野道夫さんの文庫本が並んだあたりの席に腰かけ、エチオピアとチーズケーキをいただく。クラッシックのような音楽がかかる中、お湯の沸く音、豆を挽く音、クリームを泡立てる音が響く。ずっしりとしたケーキとコーヒーのの組み合わせは至福。コーヒーは途中からフレッシュを入れて。まろやかだけれど、しっかりとコーヒーの香り。広い店内に、時代を感じさせる古いもので揃えられた家具類が心地よかった。大きな余白のある時間。
初めて訪れる場所、初めての長距離移動。冒険欲、満たされる。そして、好きな場所がまた一つ、増える。
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