雪の日

雪が降った、らしい。

よく冷えるなぁ、と満月を眺めながら帰宅したけれど、まさかその後に降っていたとは。日中も、時折小雪がちらついていた。

なんとなく取り掛かったダーニングは、奇しくも今日の天気のような柄だった。

初めてワークショップで繕った靴下は、どうしてもしっくり来ず、ほぼ履かずにそのまま置いていた。瞬発力よりも、じっくり取り組みたい派であることは数年経っても変わらないようで、思い切ってリセットして、一からやり直す。

蛍光色で、かまくらと、雪だるまをモチーフに刺してみる。

北関東で過ごした幼い頃には、ごくまれに、庭で作れるくらいの雪の日があったように記憶している。スコップを出してきて、弟と一緒にせっせと雪を運び、固めた。結局、大作を作るほど積もらず、土色の、枯れた芝生がたくさん付いた、なんとなく残念な仕上がりだった。でも、寒さなんか吹き飛ぶくらい夢中だったし、こういう時に一緒に企みを実行に移せる弟という相棒の存在が、頼もしかった。

岡山に移ってからは、どちらも見た事はない。大人になるとそんなことよりも、交通機関が正常に動くかしら、とか、水道管が凍結しないかしら、とか、心配事にばかりに気を取られる。

それでも今朝は、畑にうっすらと積もった白色に、わずかな間でも、気持ちが静まるようだった。

ちくちく

お手元にある、捨てられない、手放せない、 思い出深いお洋服や布小物を、 あなたの想いをお聞きして、布ものの個性を生かして、 お直しをしています。 布もの通訳。

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