ノマドランド

ノマドランドを観た。

友人に勧められて以来、ずっと頭の隅にあった。展示の準備が一区切りして、ようやく。


わたしが大切にしたいものはなんだろう。

消去法でなく、心から望むものはなんだろう。


わたしにとって、会社員という選択肢を捨てることは、自分らしくいられないからだと思う。(自分のことではあるが、確信は持てないので、断定しない。)

納得しないと動けない。従順であることは、心に反して行動することであり、やがて、体にも支障をきたす。今まで、そうやって従うことを求められる組織の中で、消耗し、摩耗してきた。

つまり、やむを得ず、会社員であることから距離を取っている。心身ともに健康に生きるための方法なのだ。

恐れ多くも、主人公であるファーンと自分を重ねてみる。

彼女にとってはハウスレスでいること、物質的な家から離れることは、生きるために必要なのだ。

ファーンが、姉から「あなたは勇敢で正直だ」と言われているのを聞いて、果たしてそうだろうか、と疑問を抱く。定住することができないから、ある意味で現実から逃げている、という解釈もできるのではないか。真っ直ぐでしか居られないことは、苦しい。自分を誤魔化せないことは、ときに、協調性を欠くことでもあるのではないか。

でも、自分の中の真実に向かっていくことこそが、幸せなのだと、今は思う。

気づかない方が幸せなことは、多々ある、とも思うけれど。

いずれにせよ、本来の自分を見ないようにしていた頃には戻れないのだから、このまま、寄り道しながら、進むしかない。直感を頼りに、自分の内なる声に耳を傾けながら、生きていくしかないのだ。どうせ生きるなら、楽しい方がいい。

わたしは、ノマドの一人として登場する、スワンキーのように、美しいものが見たい。

自分の手から生み出すものでも、景色でも。思想や信仰といった、目に見えないものでもいい。

ときどき持ち物を整理して、大切なものを確かめながら、今の自分に合わないものを手放していく。ただそれだけのことなのかもしれない。

ファーンが、あれこれを手放した姿は、過去を手放して、自分のための人生への一歩に思えた。

ちくちく

お手元にある、捨てられない、手放せない、 思い出深いお洋服や布小物を、 あなたの想いをお聞きして、布ものの個性を生かして、 お直しをしています。 布もの通訳。

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